1年程下書きに眠っていた記事、消すか迷ったけどせっかくなので。
勤め先で確定拠出年金が導入されてから、時々お金や投資に関する本を買って読んでいる。
年末年始(※2019⇒2020の年末年始)の電子書籍のセールで何冊か買い足したので、過去に買っていた本も併せて何冊か読んでみた。
近いテーマの本を短い期間にいろいろ読むって面白いな。
貯められる人は、超シンプル(横山光昭 著)
貯金術や投資術の本ではなく、生活面からアプローチする「お金に関する体質改善」の本。
まず生活を整え、自分の人生における大切なこと/モノを把握し、そのうえでお金の流れを整えることを提唱している。あくまでお金は手段であって、目的は「豊かな人生を送ること」という考えにとても共感できたし、腑に落ちる部分が多かった。
これはずいぶん前に買ったんだけど、読みかけで放置していた本。せっかくだから始めから読んでみました。なぜ買ったかは不明。
凄く読みやすくて、読み始めたらあっという間に終わった。何故読みかけで放置していたんだろう。
現状でしっかりお金の流れをコントロールできている人には、特に必要のない本だと思う。浪費癖があり、現状打破したいと思っている人にはピッタリじゃないかな。私には合っていたと思う。
このままじゃまずい、でも何に手を付けていいか分からないって人におすすめ。専門的な話は出てこないから、本当にとても読みやすいし。
大きく3stepでの体質改善を目指していて、実際に試せる具体的な方法が書かれている。
1st stepとして、自分の持っているモノと向き合う。それとお金に何の関係が?と思うけれど、貯められない人はモノが多く、部屋が散らかっているらしい。私のことですか…。モノはお金が形を変えたもの。ここで、自分のモノ=お金と向き合い、自分にとっての「欲しい」と「必要」を把握する。
2nd stepでは自分の生活を見直す。どんなリズムか、何が大切か、いくつかの項目ごとに検討していく。
3rd stepで初めて、貯金のための話が出てくる。ここでは、お金に関して「自分なりのルール」を作っていく。3日坊主では意味が無いので、続ける事を前提に、簡単なことから始めて、貯蓄目標や浪費額の許容範囲などを決めていく。
この本、何人かモデルケースとして過去の相談者の例が出てくるんですけど、そのうちの一人が明らかにDヲタ(いや、ユニバかもしれんけど、とにかくテーマパークオタク)なんですよ。テーマパークの年パ持ち、週末イン、家はグッズであふれかえる。私もかつてDヲタの端くれだったので、この時点で身構えるよね(笑)テーマパークは年1にすべきとか、不要なグッズは処分すべきとか言われるんじゃないか?って。
でもね、そういう事は言わないんです。あくまで「自分の中に基準を持つ」事が重要だって。つまり、テーマパークやグッズが自分の人生を本当に豊かにしてくれるなら、それは否定されないんですよ。
あと、無駄遣い扱いされることの多い「交際費(飲み代)」も、上限を決めるのは現実的では無いと。それより、都度「目的を明確にすべき」と書かれていて、そこも納得できるポイントだった。
つまり、明確な目的をもって臨み、終了後に「行って良かった」と思える飲み会は「自己投資」で、誘われたからなんとなく行って、終了後に「行かなきゃ良かった」と思う飲み会は「浪費」なんだと思う。後者の飲み会はお金だけでなく、時間も無駄にするよね。それなら、断った方が良い。
これってつまり、お金の使い方を変えなくても、自分の意識や心がけを変えるだけで、出費に占める「浪費」と「(自己)投資」の割合を変えられるんじゃないかな。
どんな時間も有意義に過ごす様にしたいなと思わされた本でした。いや、そういう本じゃない気はするんだけど。
というわけで、私の海外旅行は投資です。誰が何と言おうと(笑)
お金は寝かせて増やしなさい(水瀬ケンイチ 著)
インデックス投信の始め方から継続の仕方、終わりまでの一通りが、初心者向けに優しく書かれた本。
投資は趣味でも仕事でもなく、あくまで長期的な目線での「資産形成」という人向けに、手間や時間をかけずに継続していける比較的堅実な投資方法として「インデックス投資」を勧めている。
投資関連の本の著者って金融機関の人か本業の投資家か、とにかく「お金のプロ」が多そうなイメージだったけれど、この本の著者は「投資ブロガー」。本業ではないだけあって、ごく普通の会社員が、仕事の合間にも無理なくできる方法を勧めている。そして、さすがブロガー、文章が軽く、読みやすい。
ただし、「投資信託とは?」みたいな超初歩的な用語解説はそれほど無いので、全く初めて投資関連に触れる人には向かないかもしれない。また、「貯金ではなくなぜ投資なのか?」みたいな話も無いので、そもそも投資を始めるかどうか迷っている人の指針にはならないと思う。
投資を始めたくて本やネットで情報に触れてみたけれど、結局どうすればいいかわからないって人向けかな。あと、勤め先で確定拠出年金の教育を受けたけれど、何に投資するか迷ってるって人にもお勧め。
まずはインデックス投資について、どういう投資法なのか、どこが優れているのか、といった紹介がある。素人に(というか、ほとんど誰にも)市場予測なんて出来ないし、結局市場平均を狙ったインデックスファンドに長期的に継続して投資する方法が一番効果的ですよ、というのが要旨。
続いて、インデックス投資の具体的なやり方を説明してくれる。おすすめの証券会社から具体的な金融商品まで書いてあるので、とりあえず何から始めて良いのか…って人には良い指針になると思う。
さらに、「出口戦略」と称して、どのように取り崩していくか?書かれている。そう、お金を貯める(増やす)目的はあくまで「将来豊かな暮らしをするため」なので、どう使っていくかもとっても重要だよね。その割に、そこに触れている投資本は少ないように思う。(まぁ、それほどたくさん読んでいるわけじゃないけど。)
まず、「著者がお金のプロじゃない」という点が、私にとっては大きなポイントだった。長年投資を継続して、情報発信されている方なので、素人呼ばわりは失礼とは思うけれど。
プロの投資家のやり方は生活の中心が投資/お金って印象の場合も多くて、「いや、私の人生において、そこの占める割合はそんなに大きくしたくないです…」って思ってしまうんだよね。あくまで私は雇われの労働者で、それをやめるつもりは無いし。
あと、この本でも度々言及されているけれど、金融機関の関係者と個人投資家は利害が一致しない。なので、誰の言う事をどこまで話を信じて良いか、わからなかったりする。
著者が何者であれ「この本に書いてあるから~」と思考停止で従うのはよくないだろうけど、初心者としては自分にとっての師というか、教科書的なものが何かあると指針が立てやすい。そういう点で、この本はとても良かったと思う。
全体的に、比較的「安全サイド」で「堅実」な運用を勧めている印象だった。
投資前に手元に貯金として用意するべき金額は一般的に「生活費の半年分」程度を進める場合が多い気がするんだけど、この本では2年分。そんなに!?ってびっくりしたけれど、我々が住む日本は災害大国。ひとたび大災害に巻き込まれれば、半年程度ではとても生活が立て直せないこともあると書かれていて納得。
そういう場合には手持ちの金融商品を切り崩す手もあるだろうけど、大災害の後は株価も暴落するため、そのタイミングでの売却はかなりの損失を出す可能性が高い。生きるためにはそんなことも言っていられないとはいえ、精神の安定を考えたら当面の生活費は現金で用意するべき、という主張には納得がいく。
さらに、「自分が許容できる損失を把握し、その中で運用を」という考えもとてもしっくり来た。大きなリターンを狙えばリスクも大きくなる。どの程度のバランスにするのかが、正直とても難しい。リスクから逆算して考える、というのはとても分かりやすいし、理にかなっていると思った。
ちなみに、投資でいう「リスク」という言葉は一般的にイメージする「危険」というニュアンスとはちょっと違ていて、期待リターンの「振れ幅」のことだ。このイメージが私の中でちょっとぼんやりしていたんだけど、「リスク=標準偏差」と書かれていてめちゃめちゃしっくり来た。そうか、期待値と、標準偏差ね。もうみんな、遠回しな説明はやめて数学用語にしてくれ。
余談だけど、今回お金の本を色々読んだのは、この本の著者のブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」のこの記事がきっかけ。お勧め本から何冊か買っています。
「日本人のためのお金の増やし方大全」や拙著「お金は寝かせて増やしなさい」などが半額!【40%OFF以上】Kindle本 年末年始セール実施中
日本人のためのお金の増やし方大全(ロバート・G・アレン 著)
不動産投資で財を成したロバート・G・アレンが「ミリオネア・メーカー」として不労所得の作り方を解説している本。
「金持ち父さん貧乏父さん」を具体的な手法まで落とし込んだ感じ。「金持ち父さん貧乏父さん」を読んだのはずいぶん前なので、あまり内容を覚えてはいないけれど。あくまで印象。
それなりに面白く読んだけれど、参考になる、とは感じなかったので、あまり人にはお勧めしないかな。もっとゴリゴリお金稼ぎたい!「お金持ち」になりたい!という意欲の高い人にはいいかもしれない。
正直に言うと、「胡散臭い…」という印象が最後まで拭えなかった。「誰だって億万長者になるチャンスがあるよ!働きアリのままでいいのか?」みたいなノリの本なので、ちょっと合わなかったんだと思う。きっと著者に言わせれば、そんなんだから私は庶民で、お金持ちではないのだろう。
「お金持ち」になるためには、お金に対してここまで貪欲でなければいけないのか…と、感心する。書かれている方法は基本的に地道な努力を要するものが多く、華やかな成功の裏にはかなりの努力があるのだろう。ただ、この人は何のためにここまでお金を稼いでいるんだろう?とも感じた。本人は豊かな人生の為というような事を言っているけれど、既にそこそこ高齢で、十分に不労所得があるはずだけれど、引退してタヒチでのんびりで暮らしている様子は無い。結局著者は、「お金を稼ぐこと」が好きで、それが生きがいなのだろう。そういう価値観を否定はしないけれど、そういう生き方をしたいとは思わない。
この本そのものが「著者がお金を儲けるための仕組み」で溢れており(印税収入の事ではなくて。その辺の印象が「金持ち父さん~」と似ていた)、それが胡散臭さの主要因だと思う。そういうのを煙たがらずにうまく利用する人が、「お金持ち」になれるのかもしれない。
とは言え、学ぶものが無かったわけではない。
「複数の収入の流れを持つべき」という主張には納得がいくし、それが不労所得であれば当然なお良いと思う。
著者は複数収入の流れとして主に投資(インデックス投資)、不動産、情報ビジネス、ネットワークビジネス、権利収入ビジネス等を勧めている。投資に関しては手堅くインデックス投資を勧めている点が意外だった。それだけ、確実な方法なんだろうか。
不動産に関しても、地価の値動きを読むとかそういう事ではなく、「如何に安く・有利な条件で買うか」が第一であり、博打的要素はほとんど無さそうだった。
ところで、私は製造業に従事している。この手の本を読むと、つくづく「この資本主義社会、製造業で豊かになるのはかなり難しいのでは」と、ちょっと暗い気持ちになる。
「モノづくり」で国が豊かになれるのは、価格競争に有利な「人経費が安いうち」だけなんじゃないだろうか。もしくは、人口増加・経済成長が著しい国。つまり、発展途上にある国。かつての日本や、少し前~現在の中国のような。
経済が発展し、人経費が上がり、安くモノが作れなくなった今の日本が「モノづくり」で豊かになる方法はあるんだろうか。というか、「モノづくり」を主産業とする以上、人経費(つまり我々の所得)は上がらないのではないか。GDPが上位の国はどこも、製造業の印象があまり強くない様に思う。(私が知らないだけかもしれない。)
モノづくりって、ちょっと社会主義的な構造の方が相性がよさそうな気がするんだよな。終身雇用、年齢とともに一様に上がる給与…どれも、製造業で豊かになっていった時代には合っていたんだろうなって気がする。なんとなく。
製造業にも未来があって欲しいし、今のところ他業種に転職するつもりもないのだけど。個人としては、「モノづくり」に頼らない収入の確保は必須かもしれない。
年収200万円からの貯金生活宣言(横山光昭 著)
1冊目に読んだ本と同じ著者。概ね近い趣旨の本。何故2冊も買ったのか分からないし、そもそも私は凄く低収入ってわけではなく、何故この本を手に取ったのかも分からない。
1冊目の「貯められる人は、超シンプル」はお金に限らず生活全般を見直しましょう、っていうアプローチで、こちらはもう少しお金に関する内容に絞られた印象だった。
ずいぶん前に買って読まずに放置していた本です。
具体的な数値目標(収入に対して浪費は何%まで~とか)が出てくるので、ハマる人には良いかもしれない。私は、数値が具体的なわりにそもそも何が投資で何が浪費なのかの境界があいまいで参考にしにくいと感じた。
こういう本って、「趣味」に生きる人は想定していないんだろうか。例えば「見分を広める様な旅行は投資」とされるけれど、旅行って言ったって色々あるし、年5回も6回も海外に行くのも全て投資だろうか…?読書も、娯楽的側面も持つけれどすべて「投資」にカウントするんだろうか?「自分で考えろ」って言われそうだけど、正直、結構難しい。
まず自分のお金の使い方と向き合い、長期的に貯められる体質に改善していくという手法は「貯められる人は、超シンプル」と同じ。
「貯金の目的」をはっきりさせる様に書かれていて、そういえば、私はそこを真剣に考えた事が無いかもしれないと思った。「なんとなく将来が不安だから」では、なかなか貯まらないのも当然。動機はポジティブなものが良いらしいので、将来的にどんな暮らしがしたいか、具体的に思い描いてみようと思った。
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